ホルムアルデヒドについて
ホルムアルデヒドは元々自然界の中にある物質で、19世紀初めから合成製造されている物質で無色で強い臭気を有し、皮膚や粘膜に対して強い刺激性を持っています。主に樹脂の原料、防腐・防菌剤、布の縮み処理、接着剤等に使用されています。ホルムアルデヒドの37%水溶液をホルマリンと呼び、私達にもなじみ深い物質です。
ホルムアルデヒドの室内濃度基準についてはWHO(世界保健機構)のガイドライン値、日本の厚生労働省の指針値共0.08ppmです。
塩化ビニルモノマーについて
 塩化ビニルモノマー(以下モノマーと呼ぶ)とは塩化ビニル樹脂製造時の未反応物で、人体に悪い影響を及ぼすと言われています。そのため、精製工程で、モノマーの除去が行われています。また樹脂内に残存した微量のモノマーも、成形加工の際には加熱、混練により揮発し最終製品にはほとんど残りません。
 SV規格ではドイツのRAL-GZ479-1996.11の試験方法(食品及び食品包装で規定された方法とほぼ同じ) に準拠し、分析の検出限界である0.1mg/kg=0.1ppmを規格に定めています。尚、厚生省の塩ビ食品容器の規定値では1ppm以下と定められており、SV規格はその1/10の低い値です。
重金属について
 重金属とは、アルミなどの軽金属に対し、金、白金、銀、クロム、カドミウム、鉛、鉄など、比重が4〜5以上の金属の総称です。
 また、砒素とは、物理的性質は金属に類似していますが、化学的性質は燐に類似している非金属です。
 これらの重金属類(砒素を含む)のなかで毒性が強い物については、食品包装、玩具等で実施されている溶出試験がありましたが、壁紙製品に対する安全性については、法的な規制がありませんでした。
 そこで、壁紙製品に関する重金属類の安全性について調査した結果、ドイツの品質検査規定(RAL)があり、SV規格の基準を決めました。試験方法は当初、EN-71part-3 (欧州玩具規格の安全性)を基に溶出試験を採用しました。
 その後SV規格は廃棄のことを配慮してRALが新たに採用した材質試験(壁紙に含まれる重金属の全量を測定)を採用しています。そのため、溶出試験より厳しい基準となります。また、材質試験のほうが試験結果の数値が大きくなります。
VOCについて
 VOC(Volatile Oraganic Compounds)の健康に対する影響が注目されております。
 VOCの人体に対する影響は個人差が大きいものと言われておりますが、一般に化学物質過敏性等で問題になるVOC濃度はきわめて低濃度で有ります。
 VOCによる室内空気汚染が問題になってきたため、WHO(世界保健機構)では室内環境を対象にした基準値をガイドラインとして発表しております。
 また、TVOC(全揮発性有機化合物 Total Volatile Organic Compounds)はガスクロマトグラフという分析機器で分離定量された個々のVOCの総計を示すものです。
 
可塑剤について
可塑剤とは主に塩化ビニル樹脂に柔軟性を与えたり、加工しやすくするために加える物質です。
塩化ビニル樹脂は、この可塑剤を加える量によって硬いものから柔らかいものまで様々な用途に加工できる特徴があります。
可塑剤はほとんどが酸とアルコールから合成される化合物(一般にエステルといわれるもの)です。 酸としては、フタル酸、アジピン酸、トリメリット酸などがあり、フタル酸から作られたものを、フタル酸エステルといいます。
代表的な可塑剤DEHP(DOP)の発がん性について、IARC(国際がん研究機関)により「2B」(ヒトに対して発がん性がある可能性がある)と分類されています。ただし、DEHP(DOP)の肝臓での腫瘍発生のメカニズムはげっ歯類特有のものであると考えられています。グループ「2B」には、コーヒーや酢漬け野菜、携帯電話等も分類されています。
DEHP(DOP)を含む各種のフタル酸系可塑剤は、政府が行った試験により、内分泌かく乱作用の懸念は否定されています。
安定剤について
 壁紙の製造時、樹脂などの原材料は熱分解が進行すると変色を生じ、製品の外観を損なう恐れがあります。又、製品としては、光や酸素などの作用による経時劣化を受けやすく耐久性が低下する恐れもあります。
 こうした製造時における変色の抑制や加工性の改善、また、製品の経時劣化を防止する目的で、安定剤が使用されます。
 壁紙工業会では、1998年4月1日のSV規格制定時よりドイツのRAL規格と同じく、安定剤には鉛、カドミウムをまた2001年1月からは有機スズの使用を禁止しており、安全性の高いバリウム系や亜鉛系などの安定剤を使用しています。
発泡剤について
 発泡剤とは、加熱により気泡を発生しプラスチックの発泡体をつくる材料です。発泡剤の種類は、加熱により分解して窒素ガスなどを発生するタイプと、過熱により膨張するタイプです。
 フルオロカーボンとは、メタン、エタンなどの炭化水素の中の水素をフッ素・塩素などのハロゲンで置換した化合物で、一般的にフロンと称されています。
 1990年6月、今世紀中に特定フロンを全廃することを内容とする「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」の改定に基づいてSV規格ではフロン系発泡剤のフルオロカーボン類の使用を禁止しています。